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ROUND 3:平木雄一郎さん 前編

お疲れ様です。
こんにちは、中山です。

今回はストリートファイターVの
モーションの方針を作り上げた
平木雄一郎さんにインタビューしてきました。
「デビル メイ クライ」のダンテ、ネロ
「戦国BASARA」の伊達政宗など
を作り上げてきたデザイナーさんです。

過去所属されていた会社さんでも
大人気のキャラクターを生み出してこられた
イカした先輩です。

ヒット分岐

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早速、マニアックな話になっちゃうんですが
ストリートファイターVで
モーションの方針決め、制作指針を
決めて行ったじゃないですか。

その時に「ヒット分岐※1」のアイデアを
出してくれたじゃないですか。
あれはどういった思想からだったのですか?
※1 リュウの強キック等がヒット時とガード時でモーションが異なること。

ヒット時は相手に当たったあと、そのまま流れるように。
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ガードされた時は、蹴りが止まり弾き返されるように元の位置に戻る。
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ガード時とヒット時で
モーションが分岐するっていうのは
○拳が何年も前からやってることなんだけどね。

それを今さら試した訳ではなくて・・・

今回、目指してたヒット分岐は
攻撃が当たった事によって
敵の体勢や自分の動きが変化して、
次の攻撃やヤラレにも
その影響が出るっていう
ヒット分岐をやりたかったんだ。

たとえば、

普通にヒットしたら
腹ヤラレからのけぞりになる昇龍拳が...

「近距離強パンチ」で相手をくの字にさせた後なら、
がら空きのアゴに昇龍拳を叩き込む連携になるっていう
ヒット分岐がしたかったって事。

そのためには
まず、「近距離強パンチ」は
空振ればアッパーとして振り抜いて
ヒットしたらボディブローとして
相手のみぞおちに抉り込まれるって
派生にする必要があったわけだね。

意識していたのは、まぁ
はじめて仕事でドットを打ったときからだね。

主人公系のキャラは
「近距離強パンチ」を
ボディアッパーにしたんだよ。

その時に「ドゴォッ!」って言う感じが欲しいと思って
一生懸命描くんだけれど、
でも描いた絵ってのは
物に当たって、止まっているんだよね

肩は先行して入っているんだけど、
拳は相手の鳩尾にめり込んで
止まっている絵になるんだ。

決して空振りの絵ではない。

でも空振りの時にも
ヒットした時にも同じ絵しか出せない。


空振ったら空振りたいし
ヒットしたらヒットした絵を出したいわけ。

当時はそういったシステムが無かったのよ。
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なるほど、なるほど。

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でも過去作った
主人公のライバルキャラクター※2
どうしてもやりたくて。

ヒットストップ※3を利用して再現したことがあったよ。

普通は攻撃判定がある絵は
空振りの時から長めに表示してて
ヒットした時にはさらにヒットストップをかけて
ヒット感を出すっていうのが多かった。

○神○の「近距離強パンチ」でアッパーを作った時に
攻撃判定がある「拳が当たった瞬間」の絵と、
その次の「拳が相手の鳩尾にめり込む」絵を描いて、
空振りした時は最速の1フレームしか表示しないけど、
ヒットした時はそれぞれにヒットストップをかけて
「当たった拳が鳩尾にめり込む」挙動が
わずかに目に残るようにしてみた。

アッパーを空振りした動きとしてはウソの挙動なんだけど
空振りした時は最速表示だから気にならなくて、
ヒットした時にだけ本来の挙動が目に残るって感じで。

攻撃判定がある絵の表示が短すぎる!
ヒットストップをかける絵が2枚もあるなんて!
等々と言われましたが、なんとか搭載してもらえました。
※2 後編でヒントが出るかも。
※3 攻撃が当たった際にゲームの時間を止める事。当たったことが解りやすい。
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作り分けたわけでなく
ヒットストップがかかるパターンを選定して
そこを長めに見せることで
打撃が当たった感を出してたわけですね。
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だから意識して
ちゃんと攻撃が当たった感を出したいって言うのは
デビュー作の時からあったんだよね。

でも新人だからどうゲームに落とし込んだらいいか解らなかった。
自分の頭の中にはあったんだけれどもね。

で、今回リュウを作るときに
「近距離強パンチ」作るなら
そういう絵が見たい、と思ってやりました。

ストリートファイターⅢの真・昇龍拳※4
通常の技でもやろうと。
ボディブローで相手を止めて
のけぞった所に昇龍拳を喰らわす。
真・昇龍拳はそういう演出の塊なわけ。
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※4 ストリートファイターⅢのリュウのスーパーアーツ。かっこいい。
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なるほど。
真・昇龍拳の演出を自力でできる様にしたいと。

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そうそう。
何とか組み込めないかなって思いがありました。

まぁ、そう思って作った
リュウの「近距離強パンチ」は
調整で無くなっちゃったんだけどね(笑)
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(笑)
立ち強キックには残ってますから。

昔はヒットストップや画面振動で
表現していたヒット感をキチンと作ったわけですね。
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今の技術なら出来るから
あるべき形をちゃんと作ろうという事にしました。

アメリカのスタッフからは
不評だったたけどね(笑)

彼ら(リュウ達)は格闘の達人だから、
相手のガードで
攻撃が止まる事なんてないんですって。
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おもしろいですね。
文化の違いですかね。

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そうだね、
そこは痛感しました。

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過去、「DMC」でも海外の開発さん※5
お仕事されてたじゃないですか?

その時にもモーションに対する文化の違いとか
感じました?
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※5 Ninja Theoryさん。
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そうだね~。

リアリストというか
あるべきものを
あるべき形で再現する
って言う思考が強いね。

なんで止まるんだ。
実際やったら動くじゃねーか。
みたいな所は
ちゃんと動かそうよという考え方だね。

欧米のクリエイターさんは
今、現実世界にあるものは
きちんと再現すべきって考えが根本にあって
日本人のクリエイターさんは
そういう現実があったとしても
その中から欲しいものだけをデフォルメして取り出したい
って考えと異なるんだよね。


でもNinja Theoryさんは
非常にいい会社で、デフォルメとかも上手でした。
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そうですね。
「DMC」はプレイしてて
気持ちいいアクションでしたし
リアルな表現も良い感じで入っていて
非常にハイブリッドな感じがしました!
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Ninja Theoryさん
新作「Hellblade」も期待してますよ!



そういえば

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そもそも平木さんって
なんでモーションマン※6になったんですか?

※6 カプコンでは担当している仕事にマンを付ける文化があるのだ。
企画マン、キャラマン、背景マン、ソフトマンなど。古い文化なので言わない人もいる。
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わかんない。

気付いたらなってた(笑)

もともとドットでキャラクター打ってた人って

①モデルマン
(3Dモデルでプレイヤーや敵キャラクターなどを作る人)
②モーションマン
(3Dで作られたキャラクターに動きをつける人)
に分かれるじゃない。

カプコンに来る前は
モデルもやったりモーションやったり色々してたけど
カプコンに入社した時に
単純にモーションマンが少なかったから
そうなったんじゃない?

モデルマンが足りなかったら、
モデルマンになってかもしれないし。
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...そんな理由ですか。

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流れでなったんじゃない?

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流れでって...。
流れで...なってなかったら
ダンテ※7とか政宗※8とか
いなかったじゃないですか。
※7 デビル メイ クライの主人公。モーションは平木さん。
※8 レッツパーリー!コンセプト、モーションは平木さん。
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まーそうだね(笑)

カプコン入って最初に作ったのが
DINO CRISIS 2※9ヴェロキラプトル
そのモーションを見た偉い人が、

キミ、随分スタイリッシュな
ヴェロキラプトル作るね。 うちのチームに来ない?
ってなって
ダンテを担当することになったんだよ。
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※9 DINO CRISIS 2。2000年発売のサバイバルホラーゲーム。
恐竜が出てくる怖いゲーム。主人公はレジーナさん。
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だからアイコンが
ヴェロキラプトルなんですね。
モーション制作のスキルは
どうやって身につけたのですか?
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モーションはね
子供のころに粘土が好きだったのが
影響しているかも。
油粘土。

超合金とか欲しかったんだけれど
なかなか買ってもらえなかった。

アニメでは毎クール毎クール違うロボが
どんどん出てきたけれど
その都度、買ってもらえなかったから、
その時の流行のロボを粘土で作ってたね。

延々とそれを繰り返していたら
最初は拙いけど
だんだん上手くなってくるじゃない。
そこで立体とか空間把握能力が付いたのかもね。

モーション制作のスキルに関しては、
昔はリアルに作るんだ!って
意気込んでいた事もあったけれど。
モーションキャプチャーが来たら意味ないじゃん(笑)
結局、技術を伸ばして行っても
あまり意味が無いと思うんだよね。
使うツールも変わるわけだし。

これが、ほしいって思っている人に、それが届けられるか
何が欲しいのかを理解できるか
それを上回る想定以上の何かを届けられるか、という
感覚や意気込みの方が大切だと思うんだよね。
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んーそうですね。
まさにそうだと思います。

平木さんは
企画的な側面もありますからね。

さっきのヒット分岐もそうですけど
色々アクションに面白いネタを入れたい
こうしたら面白い、ってのを
提案してくれますもんね。
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ゲーム業界に入るのが遅かったんだよ。

しかも、この仕事に着くまで
ほとんどゲームやらなかったから
「ゲーム業界での当たり前」というのを
全然知らなかったというのが
逆に良かったのかもね。

だから、ゲームの事解らないから
「なんで?」って思うことが沢山あった。

それがユーザーさんの「なんで?」とか
「こうしてほしい」っていう感覚に近かったのかもね。
だから、ユーザーさんが
この時にこう思うんだろうな?ってのが
リンクしやすかったのかもね。
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なるほどね。
伊津野さんもストリートファイターZEROの回
「ユーザーさんに近い感覚」の話をしてくれました。
ゲーム作り続けていると
「ゲーム業界での当たり前」が
身に沁みついてしまいますからね。
続く!!


 

■きいている人■
なかやま
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■こたえてくれた方■
平木さんのコラムはこちらから
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WEBラジオ#04公開!!