主人公
主人公キャラ&かっこいいキャラを
担当されることが多いんですが、
なんとゲーム制作で初めて担当した
あの K○Fの 草○京※1 についてお聞きしても良いですか?
どんな思いで作られたのでしょうか?
やっぱり、リュウが圧倒的なライバルというか
壁だったね。
○薙 京のドット打ってた時は
「絶対に超えないといけない!」と思っていたけど
同時に「絶対に超えられない」とも思っていたよ。
一番最初のキャラだからね。
一番最初のその世界の主人公というか
パイオニアだからね。
絶対勝てることは無いけど
並べるくらいにはなりたいと思ってたよ。
で
前編でも書いたけど
俺、ゲーム業界デビューが遅かったから
本気でそう思ってて
でも他所のゲームの主人公って
はなから勝つ気がない、というか
勝負する気が無いように見えてたのね。
同じ道をたどったって
勝てっこないのに...という思いがあって
草薙 ○が出来たんだよ。
同じ道を行っても勝てないなら
違う魅力をを作ればいいって考えがあったのよ。
あの時代の主人公ってみんな修行が好きだったんだよね
さわやかで、熱血漢で。
みんなムキムキでワイルドでしたね。
しかも芯が通っていて
真面目。
だから「なんで修行が嫌いじゃダメなの?」
「才能があるから強いじゃダメなの?」
「普通にイケメンでモテてちゃだめなの?」
ってのがあって
あっちを作ったんだよ。
意図して狙ってやったんですか?
あ、あれか
ゲームに染まっていなかったからか。
両方あると思うよ。
染まってなかったからという
側面はあったかもしれないね。
ライバル
○薙 京のライバル※2 を作られるじゃないですか。
主人公が大当たりだったので
プレッシャーあったんじゃないですか?
「え、アレよりもっといいキャラ作ればいいんでしょ」
みたいな。
もっといいネタがもう1個あったから。
だってア○ロ作ったらシャ○作るのはやり易いでしょ。
矢○ジョー作るより力○徹作る方が楽なはず。
いいライバル作るってのはやり易いはずなんだ。
形としてライバルって決まった時点で
ほぼ、そのキャラは勝ち目が見えるんだよ。
人気が出たキャラクターが居たら
そのライバルが欲しいってのが
一番わかりやすい気持ちなんだよ。
その設定だけで
独り立ちできますからね。
説明が半分で済む感覚です。
生みの苦しみはあったよ。
動きと性格をどうするかという点でね。
草薙 ○が主人公で炎使い、ある側面では熱血だから
その反対の青くてクールで来るだろうって
開発チームは勝手に思ってたんだ。
設定はテンプレで良いと思ったんだけど
中身はなにかしてやろうと思って。
あえて凶暴なやつにしてみた。
まさか爪で引っ掻くとか、
野獣的な動きをするとは思わないじゃない。
見た目クールだけど
闘い始めるとワイルドってのを狙いました。
それを他のメンバーには黙ってたから
キャラを画面に出した時
「え、こっちなの!?」って(笑)
待機の1枚絵だけは出してたから
みんなもっとシャープな
動きだと思ってたんだよね(笑)
しかも「屈強キック」出すと
バタン!って落ちちゃうし(笑)
「え、落ちちゃうの!?」って(笑)
色々想定外の動きをさせたから、
リアクションを見てて面白かったよ。
それだけ反応があれば
印象にも残るし
キャラ個性も引き立ちますね。
ユーザーさんの反応も良かったですしね。
それをキープしつつ
「予想外、想定外」の物を
「想定以上のクオリティ」で出す
という思いで〇神 庵を作ったんだ。
必ず何かフックを付けるのですね。
何か、残るものというか。
印象づけるというか。
最初「呑み込めない」キャラを
作るようにしている。
さらっと呑み込めるのではなく
最初の一口目が引っかかる。
その内、それが良くなるようになるからさ。
ちょっとここが嫌だなぁ
ここが引っかかるなぁ、というのを
あえてやってるんだ。
すぐ呑み込めちゃうと
忘れられちゃうからさ。
そうじゃなかったら
指の間に三本日本刀挟んだりしないですよね。
両方で六本とか。
そうだね。
あれも一刀流の時は良いトコの子
六爪は彼の波乱万丈の人生の
二面性を出そうと思ってたのよ。
リュウと醤油ラーメン
リュウのモーションを作ってみて
どうでした?
色々お願いしてしまいましたが。
デビュー作でライバルとして
大きい壁だったキャラクターだし。
ゲーム業界でアクションやっていたら
いつかは作ってみたいと
みんな思ってるキャラだから。
全部はやっていないし
アドバイスだけだけれども、
関われて、よかったよ。
個人個人の熱量が高まっていくと
良いチームになるからね。
とても重要ですからね。
いいチーム=良いゲームが出来る環境ですから。
技の性能やコンセプトは
バトル班から出ていましたが
平木さんの拘りはどこでしょうか?
リュウを見た時に思ったことが
「ナンバリングなんだから何かやらなくては」という
気持ちで、
過去の良いトコ取りをしているようで
ちぐはぐだったんだよ。
海外はスーパーヒーローだと思っているしさ。
でも、原点に戻るようにした。
リュウは
透明に近い白じゃないといけなかった。
色々な事をわかったうえで
削れるだけ削ってシンプルにしました。
一番最初のリュウに戻して
ここから先、歴史を重ねて行って、
リュウらしい技を増やして行くのは有りだと思う。
シンプルな醤油ラーメンだよね。
リュウは。
豚骨とか背油系じゃなくって。
シンプルで骨太という事ですね。
技一つ一つを吟味して闘う。
色々流行があって、
一時的にいろんなラーメンに行くけど
最後はちゃんと仕事が丁寧な
醤油ラーメンに戻っていくんだよ。
「一生食うならどれよ?」って聞かれたら
やっぱり醤油ラーメンだからね。
一生食っていく は重要ですね。
今はやりの具材を乗っけたり、
アブラ増したり、色々してたように見えたわけ。
それがコンボだったり、
スタイリッシュなモーションだったり
色々やりすぎていた。
でも
醤油ラーメンには合わないんだよね。
誰でも帰って来れるラーメン(リュウ)にしないと
10年戦えないからね。
まぁ背油とかは
ケンがやってくれるかなーって(笑)
ちょっと流行のヤツいっとくかみたいな(笑)
ちょっと 摘まんで おくかみたいな。(笑)
今回はそういう棲み分けがアリって聞いてたから
リュウはやり切れたね。
ここだけの話だけど
リュウは「シブカッコいい」とか
「どんくさいカッコいい」が表現できるんだよ。
しなる様な華麗な蹴りとかじゃなくて
丸太の様な足をぶん回して蹴る、で
カッコイイが出せるんだよね。
当時、ドットの時代のリュウを見てたから。
でも「シブカッコいい」の感覚が
誰にでもあるわけでもないし
海外では特に伝わりにくいので
危ない橋かな、とは思った。
でも、ここでやっておかないと、と思ったね。
今回はキャラ作りやモーションに関して
色々聞いてきました。
キャラクター達が沢山のユーザーさんに愛され
末永く登場できるためのアイデアや思いを
きくことができました。
伏字が多くてスミマセン。
平木さん、ありがとうございました。
皆さんも読んでいただきありがとうございました!
また次回!
なかやま
平木さんのコラムはこちらから
K○F誕生秘話
というか
当時の(1993年頃)K○Fチームの
雰囲気はどうでした?
カプコンやめて来た人たちの集まりに
アイ○ムの人たちが合流して出来たのが
K○Fチームなんだよ。
その当時は、他の部署が○狼伝説、龍○の拳、
サムライ○ピリッツを作っていて盤石なわけ。
「で、お前らどうすんだ?」みたいな雰囲気になって
結局、色々キャラを借りて作ったんだよ。
その当時は「サバイバー」って名前で
樽やドラム缶を担ぐ、投げる
アクションもあったと聞いています。
テ○ー・○ガードやリョ○サカ○キなど
錚々たる主人公がいる中
そのタイトルの主人公を
作らないといけなかったわけじゃないですか?
やるからには勝とうと思ってたよ。
自分の言ったことに相反するけど
「シブカッコイイ」だけじゃなくても良いじゃん
ってのがあったね。
伊津野さんも言われていたんですが
「ユーザーさんに近い所の感覚」が
はっきり出ていたのではないかと。
本当に94年という時代に合っていたんでしょうね。
景気も良かったしね。
チョーシこいてたね(笑)
毎年出すってのは凄いですよね。
キャラも大変だったんじゃないですか?
数体キャラを足せばよかったわけだから。
追加が毎年2チームだとして
新キャラ6キャラ追加すればいいから。
あとはボスを作ればいい。
7体のキャラを1年かけて作ればいいじゃん、
みたいなね。
平木さんにとって
K○Fってどんなタイトルだったのですか?
デビュー作はどんな人にも一つしかないから、
後悔しないように
その時に出来る事は全部出しきった。
そのおかげで、S○K在籍の時から
カプコンの友達が出来たり
その後にいろんなチャンスがもらえたりした。
とても大切に思ってるし、感謝してます。