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傘が語る大きな雨音

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2026.02.20

バイオハザード レクイエム|佐藤奈央/Nao Sato

「レオン」と「グレース」という、新旧二人の主人公が織りなすストーリーは、『バイオハザード レクイエム』の一番の柱と言ってよいでしょう。
中西ディレクターからは、「二人のパートの違いを明確に表現するため、音楽のジャンルは全く違うものにしてほしい」というオーダーを受けていました。

レオン編の開発当初、我々コンポーザーは「インダストリアル」というキーワードを軸に音楽制作を進めていました。
具体的には、「金属をたたく音」といったような、楽器ではない音を社内スタジオで収録し、ギターアンプに通して歪ませて...といったものです。
このように当時は、出来るだけ無機質でローファイ、かつ激しいリズム要素を含んだ音楽で、レオンの表現を目指していました。

しかし、制作を進める中で、我々が直面した課題が、「ホラーをどう表現するか」という点。
激しく歪ませたリズム、というのはアクションを表現するのにはピッタリなのですが、バイオの持つホラーの側面をなかなか表現できずにいました。
そこでさまざまな試行錯誤を経てたどり着いたのが、「ダークアンビエント」です。

空間全体を包み込むようなサウンドが特徴のアンビエント。
冷たく、無機質な質感の音だけを使い、陰鬱なドローンやシンセサウンドで、ラクーンシティの荒廃した世界観やストーリーを表現。
そして時に、荒々しいダウンテンポなリズムでアクションを表現することで、レオン編の音楽は出来上がったのです。

そしてグレース編。初登場となるこのキャラクターを迎えるにあたって、どのような音楽で表現すればよいか、こちらもとても悩みました。
そもそも『レクイエム』は、グレース編でしっかりと怖いホラー体験をさせることで、レオン編のアクション体験との相互作用を狙っています。
だからホラーを出来る限り怖いものにしなくてはいけない。
そのため、クラシックホラーのように現代音楽の奏法を取り入れたものや、フィルム・ノワール調のものなど、さまざまなスタイルを試しました。
『レクイエム』は、閉鎖的な空間は登場するものの、都会の中の建物や広大な療養所だったりと、ロケーションは典型的なホラー映画のものとは異なります。

その上、ただホラーをやるだけではなく、「ラクーン事件」に繋がるドラマチックなストーリー展開に合うような、壮大さも持ち合わせていなければいけない。
結果として、既存の音楽を参考にするのではなく、やはり「この作品にしかない新しい音を一からつくるしかない」という結論になりました。

その一つの手段として考えたのが「木管楽器をフィーチャーする」というものです。
小学校で吹くリコーダーを想像していただくとお分かりいただけるかもしれませんが、リコーダーをはじめとした木管楽器は、その温かい音色が特徴です。
弦楽器の「キリキリキリ」という金切り声のような音は、ホラー映画では定番ですが、木管楽器ではこういった音を出すのは難しいと考えていました。

しかし、よく調べていくうちに、特殊な奏法をすることで普通の木管楽器の音色とは違う、歪んだ音や機械的な音など「不気味な」音も出せるということが分かりました。
そういった「不気味な音」を出せる特殊奏法を見つけられるだけ全て収録し、それをひとつずつレイヤーしていくことで、グレース編ならではの音楽を構築したのです。

この全く違う特徴的な二つの音楽が渾然一体となったものが、『レクイエム』の音楽です。
30周年コンサートでは、ぜひプレイヤーの皆さん自身の耳で、この音楽の融合を体感していただければ幸いです。


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