傘が語る大きな雨音
4つの交錯する物語と音楽 ―『バイオハザード6』の音楽―|成田暁彦/Akihiko Narita
『バイオハザード6』は、レオン、クリス、ジェイク、エイダというキャラクターの異なる4人を主人公として、それぞれの物語が交錯しながらパンデミックに立ち向かうという恐怖とアクションの融合を目指した作品となっています。
音楽面でもこの多様性を反映させるべく、各シナリオに合わせたジャンルの楽曲を用意することで、プレイヤーの没入感を高める工夫を施しました。
レオン編ではクラシックなゴシックホラーの雰囲気を重視し、弦楽器や管楽器の特殊奏法をメインに据えつつ、妖しくも美しいピアノをアクセントに添えた楽曲を中心に構成しました。
クリス編ではミリタリー色を強く打ち出し、緊張感と戦闘の激しさを表現するために、重厚なブラスやパーカッションを多用しています。
ピアーズとの絡みやクリスの抱える部隊との信頼関係に纏わる、時にヒロイックだったり、時に悲劇的なシーンではトランペットも活躍しました。
一方、変わりどころのジェイク編では、素手、格闘アクションという彼独特の戦闘方法に目を付けてバンド編成を主軸に置きました。
これにオーケストラ楽器やバンド楽器を足し引きする匙加減により戦闘のダイナミクスに変化をつけていました。
エイダ編では、彼女の謎めいた魅力とスタイリッシュなアクションを表現するために、エレクトロダンス系のサウンドを採用し、近未来的な雰囲気を演出しています。
そしてメインテーマは音楽的にはオーケストラを基調としながらも、精神的には迫りくる恐怖というネガティブさと、そのパンデミックに立ち向かう4人というポジティブさ、その両側面を内包している必要があり、
作家の方はもちろんですがディレクションした我々も相当苦労しました。
が、メインテーマのモック決定稿ができて以降は、このテーマフレーズをシナリオがクロスオーバーする場面を中心に散りばめる作戦で制作は一気に捗ったのも確かでした。
さて、印象的な楽曲のひとつに「ハオス」があります。
これはクリス編のラスボス戦で使用された楽曲で、『バイオハザード7』の森本氏が作曲を担当しました。ロシア語で「混沌」を意味するその名の通り、
狂気、恐怖、巨大さ、荒々しさといった要素が見事に凝縮されており、まさにラスボスにふさわしい迫力ある一曲となっています。
都市伝説的な話ですが、「ハーオス~」という歌詞があるとかないとか…(笑)。
この楽曲の後に流れる、クリスとピアーズの別れのシーンでの感動的な音楽との対比はプレイヤーの心に残る演出となったのではないでしょうか。
歌モノの楽曲についても触れておきたいと思います。
ウェスカーの息子である新キャラクター、ジェイクとシリーズでもお馴染みのシェリーがウスタナクを撃破し、辛くも逃げ切るシーンを思い起こしているうちにふと浮かんできた楽曲となります。
今回はその楽曲をバンド編成で演奏するということで、個人的にも非常に楽しみにしております。
ゴリゴリのメタルバンドが珍しくバラードをリリース、という勝手に妄想した裏設定があったりします。
このように『バイオハザード6』の音楽はホラー、アクション、ストーリー性を意識した結果、ほかのシリーズ作品に比べて輪郭のはっきりしたキャッチーな楽曲が多く、ストレートに音楽的に訴えかけてくる色合いが強いと思いますので、
コンサートではその部分に注目していただくのも面白いと思います。
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