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傘が語る大きな雨音

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2022.01.13

ホラーが好きな人はもっと好きに! 苦手な人は好きになる!? ホラーの楽しみ方!!(前編)

唐突ですが、皆さんにとってバイオハザードの魅力と言えばなんでしょうか。
奥深いストーリー、魅力的なキャラクターとクリーチャー、たくさんあるかと思います。でもおそらく皆さんに共通しているのはホラーという点ではないでしょうか?
今回は株式会社闇の頓花聖太郎さんに、「ホラーの楽しみ方」をテーマにお話を伺ってきました。


事前に拝見した会社のHP(※)があまりにも怖くて、株式会社闇のオフィスにお邪魔できる気がせず、今回のインタビューは別の担当者にお願いしようかと思っていました(笑)。
ですが、頓花さんのホラーに対する考え方など非常に興味深いお話をたくさん聞くことができました。
ホラーが好きな人もそうでない人も、ホラーへの見方が変わる、非常に濃い内容となっておりますので、ぜひ!
(※ 記事最下部にリンクがありますので、ぜひイヤホンで音も楽しみながらご覧ください!)

 

── 本日はよろしくお願いいたします。まずは株式会社闇ではどういったことをされているのかご紹介いただけますか。


頓花 弊社は一言で申し上げると、ホラー専門の会社になります。分かりやすい例を上げるとお化け屋敷の制作、になりますが、それだけではなく、ホラーVRの制作やそのVRを使ったホラーイベントを企画・提供したり、ホラーゲームを制作したり、といったこともしております。
また、少し変わったところでいうと、リゾートバイトや脱毛サービスといった、本来ホラーと全く関係のないものをホラーと結びつけることで話題を作り、プロモーションを企画することも得意としております。そういった点では、インターネットを使って話題作りを仕掛けることが得意な会社だと自負しております。


怨霊の金縛り屋敷 幽霊専用の脱毛サロン

実績紹介 | 株式会社 闇 より引用


VRを使ったイベントと一口で言っても、布団に入った状態で機器を装着してもらいながら体験してもらったり、VRで映像を見た後にお化け屋敷に入ってもらったり、現存するお化け屋敷をVR化して保存するなど様々な試みを行っております。
またプロジェクションや立体音響などのテクノロジーを組み合わせて、ホテルや映画館、遊園地といったものまでをインタラクティブ性のある、ホラー体験を感じてもらえる場とするなど、テクノロジーを組み合わせて新たなエンターテイメント化するということを行っております。

一方でどうすれば怖いものが怖くなくなるかも理解しているので、ホラー映画であえて怖いシーンを怖くなくすことで話題作りを仕掛ける、といった一風変わった企画も実施しました。
まとめると、ホラーにまつわるものはなんでも手掛けている、ということになりますでしょうか。


── どれも一つ一つ詳しくお聞きしたいくらい興味深いです。
ご自身も元々ホラーがお好きで、こういった展開を始められたんでしょうか?


頓花 私自身、実はとても怖がりなんです(笑)。 といっても怖いものが嫌い、というわけではなく、怖いんだけど楽しい、という感じですね。
怖いと感じるのは、恐怖心がそれだけ強い刺激であり、強い感動体験なのだと思います。
そして我々はこのホラーというものを、ネガティブなものではなくポジティブなエンタメとして提供したいと考えております。
「笑い」や「感動」を扱った素晴らしいエンタメ作品が存在しているように、私たちも「恐怖」を扱ったエンタメ作品を通じて、世の中の人々に強い感動体験を提供していきたいと思っています。


── 「ホラーをエンタメとして提供する」というのは非常に面白いですね。
そもそも頓花さんにとってホラーとはどういったものでしょうか。


頓花 まず、どうすればホラーを作ることができるかという点ですが、私自身、ホラーはロジックだと思っています。そのロジックを分解すると、ホラーは生理的な恐怖と文化的な恐怖に分かれると思っています。

恐怖心は大きく2つ

誰でもホラーを作れる方法|株式会社 闇 より引用


『生理的な恐怖』というものは誰でも生まれ持って持っているものです。いわゆるジャンプスケアと言われるような驚きや、高いところや狭いところなど、直接死を想起するような、本能的な恐怖です。お化け屋敷の演出にも使われます。

生理的な恐怖

誰でもホラーを作れる方法|株式会社 闇 より引用


一方の『文化的な恐怖』というものは、人が成長するにつれ、徐々にそれが怖いと学んでいくものです。『原体験に基づいたもの』、『宗教的な観点に基づいたもの』、『背景にある物語に基づいたもの』などです。

文化的な恐怖

誰でもホラーを作れる方法|株式会社 闇 より引用

それぞれ説明します。まずは原体験に基づいたものですが、例えば最近の若い方たちは座敷があって、土間があって、というような古風な場面を見るとかえって新鮮に見えてしまうそうです。一方で団地などのシーンを用いるとどこか怖いと感じられるなど、やはり幼児期や自分の成長過程で見てきたものが、原体験となって恐怖の根源になっているのでは、と感じます。
宗教的な怖さ、というのは我々の死生観に根差している恐怖心です。そういったものは人が育っていく文化や宗教観の中で培われたものであり、それらがベースになるモチーフがあると、やはり怖いと感じられるようです。
最後は物語から受け取る恐怖感ですが、例えば記憶媒体として、SDカードとビデオテープ、どちらが怖いかと問われると、ほとんどの方がビデオテープだと答えると思います。アニメのフィギュアと日本人形なら、日本人形の方が怖いでしょう。これは、これまでのホラー作品やそういった物語が文化として怖さを育くみ、脈々とホラーアイコンという象徴的なものを築きあげてきたということだと思います。


株式会社闇オフィスに置かれていた人形たち

株式会社闇オフィスに置かれていた人形たち。こういったものを怖がるのは日本人独特の感性なのかもしれないですね。


生理的な恐怖であればある程、全世界共通だと思いますが、文化的な恐怖は生まれ育った地域によって大きく異なります。それぞれの国々で恐怖の対象が異なるのです。それは地域性だけでなく年代別でも同じことが言えます。つまりそのホラーを感じてもらうターゲットによってバランスを変える必要がある、と感じています。ジャンプスケアばかりのホラーだけで良いと言えば、当然そうではなく、上質な体験を感じてもらいたければ、それぞれの恐怖をバランスよく提供する必要があります。

カプコンさんのバイオハザードもそのバランスをしっかり考えられているからこそ、世界中で人気があるのだろうなと感じます。
先ほど触れた『物語から受け取る恐怖』というのは、必ずその恐怖心を植え付ける仕掛ける人がいる訳ですが、間違いなくバイオハザードも多くの人に恐怖心を植え付けている側だと思っています。
やはり洋館を見ると、バイオハザードっぽいな、と感じてしまいますからね。


── 文化としての恐怖に一役買っているとは、なんだか光栄な気分です。ありがとうございます。
人にホラーを提供する際に心掛けていること等はございますか?


頓花 これは私が考えたフレーズではないので恐縮ですが、「ホラーは段取り」という言葉が非常に好きです。面白い例をあげますと、お化け屋敷を体験されたお客さんにユーザーアンケートを取ると、実は、お化け屋敷は待ち時間が極端に短いと満足度が低くなってしまうという結果が出ています。
つまり適度な長さの待ち時間が必要ということで、その待っている間にワクワクドキドキしている時間が大事ということです。
これはつまり少しずつ恐怖というものを積み上げていって最後に満足するということになりますが、バイオハザードの演出を見ていてもそう感じることが多いです。
常に怖い場面ばかりだと面白くありません。恐怖演出は緩急をつけて、段取りを踏むことで上質なホラー体験が提供できます。


── ホラーと一口に言っても、様々な要因とそのバランスで感じる体験が大きく異なってくるということですね。
先のお話でも少し触れられていましたが、ホラーを提供される側、つまり受け手にとって、ホラーの満足度というものはどういったところから生まれると考えられていますか?


頓花 先に触れたようなユーザーアンケートを見ると、そのホラー体験の中で、どれだけ叫んだかも体験者の満足に大きく影響を与えるようです。そういった意味で分かりやすいジャンプスケア的なものもしっかり入れて叫べる機会をいかに提供できるかも大事だと思っています。
お化け屋敷に来られるお客さんはどちらかというと女性のお客さんの方が多いです。色々理由はあるかもしれませんが、女性の方が恐怖心を楽しめるマインドセットを持っている人が多いのかもしれないと考えています。これは推測ではありますが、男性の場合、びっくりしていること、怖がっていること自体がかっこ悪いという概念があるのかもしれません。一方で女性の方は恐怖というものをありのまま楽しんでいる方が多い印象です。


株式会社闇オフィスに置かれていた箪笥

株式会社闇オフィスに置かれていた箪笥。隙間から人間の髪の毛らしきものが……。


ただ、昨今その状況にも少しずつ変化が見えてきているなとも感じています。
最近では、YoutuberやVtuberといった方々がホラーゲームやホラー作品をプレイしたり、見たりしながら実況を配信することが珍しくなくなっています。その中でYoutuberやVtuberの方々が全力で叫びながら楽しんでくれていますが、それを見ている比較的若い世代の方々もその姿勢から素直にホラーの楽しみ方を学んでくれているのではないかと思っています。
これからはホラーをありのまま、純粋に楽しむ世代になってくるのではないかと。怖かったけど楽しかった、終わった後笑顔になるような、エンターテイメントとしてのホラーを目指している我々としては非常に喜ばしいことだと感じます。


── ホラーを楽しむ、というお話ですが、そもそもホラーが苦手な人はどうすれば楽しめるようになりますか?


頓花 そのご質問に対する答えは非常に簡単です。答えは、先にもあげた、YoutuberやVtuberの方々の配信にあります。彼らの配信を見ていると、リアクションを大きく取りながら、時には多少無理やりでも意図的に叫びながら驚いて楽しんでいます。お化け屋敷でも、叫びながら回っていると怖いけど楽しいと感じてもらえると思います。とにかく声をあげるというだけで怖さが解放されて楽しさに昇華されていきます。怖いという感情に蓋をしてしまうとやはり楽しめないと思います。


── エンターテイメントとしてホラーをテーマに今後どういった企画を実施されるのか、こちらとしても非常に楽しみにしております。
早速、近々面白そうな企画があると伺っておりますが?


頓花 2月11日(金)から『心霊配信の夜』というオンラインホラーイベントを予定しております。呪われたHPを取材している配信者がいて、その配信者を見ているだけだったはずの参加者も巻き込んで恐ろしい目に合うという内容になっています。
『ウミガメのスープ』をモチーフとしたゲーム性もあり、参加者みんなでチャット欄に質問してYES/NOの回答をもとに物語の真相を推理していくというまったく新しいイベントになっています。これまでなかった恐怖体験を楽しんでいただけると思いますので、ぜひご参加ください!

心霊配信の夜

心霊配信の夜 (当企画は日本からのみの参加となっております。)

 

今回はここまで! 後編ではホラーを専門に活躍されている頓花さんと「バイオハザード」の関係をご紹介しますので、楽しみにお待ちください!

 

頓花 聖太郎 頓花 聖太郎

https://death.co.jp/ 株式会社 闇 1981年兵庫県生まれ。もともとはグラフィックデザイナー。大好きなホラーを仕事にすべく2015年、株式会社闇を設立。ホラー×テクノロジー=ホラテクをテーマに、ホラーイベントの企画やプロデュース、ホラー技術の提供、ホラーを使ったプロモーションなどを行い、新しい恐怖感動を作り出している。

 

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