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傘が語る大きな雨音

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2021.10.15

「ゾンビ学」の岡本健准教授に聞く、バイオハザードの魅力!

バイオハザードに登場するクリーチャーの中で最も代表的なものと言えばやはりゾンビですよね。
今回はなんと、近畿大学にてゾンビをテーマに研究をしておられ、ゾンビに関する著書も多数出版されている岡本健准教授に、バイオハザードをテーマに色々なお話を聞いてきました。
岡本准教授ならではの、非常に面白く、興味深いお話をたくさん聞くことができましたので、ぜひ!


こちらがその岡本健准教授。実際お会いしたときはもちろんゾンビではなかったです(笑)

ゾンビな岡本健准教授

── これまでゾンビに関する様々なコンテンツが世に生まれ、長い歴史があると思います。その中でカプコンのバイオザードがそういったコンテンツに影響と与えたと感じている部分があると思いますか?


岡本 まずゾンビの歴史について簡単にお話します。その発端は、ハイチで信仰されていたブードゥー教の呪術で、死体を蘇生して使役するものでした。それが、アメリカに紹介されます。たとえば、ジャーナリストのウィリアム・シーブルックは1929年に『The Magic Island』という本を出版し、その中でハイチのゾンビについて書いています。この「ハイチのゾンビ」が当時の映画プロデューサーの目にとまりました。そこからゾンビをテーマにした映画が多数作られることとなったわけです。
ただし、当初のゾンビは驚くことに人間を食ったり、感染したり、という設定はありませんでした。あくまで人間に使役される存在でしたが、次第にゾンビがみずから動いて人に襲い掛かるという特徴が生まれ、その設定が大いに人気を博して、今も定着しているというから面白いですよね。
その後、日本にもゾンビという存在が伝わってくることで、日本でもゾンビ映画が見られるようになっていきます。こうして世界中の様々な監督がゾンビ映画を製作し、大量のゾンビが世に生み出されることになるわけですね。

しかし、1990年代になるとゾンビ映画も徐々に減ってきてしまいます。理由は様々だと思いますが、ゾンビをテーマとして描ける内容に限界が来た、ゾンビ映画が飽和状態になり、視聴者に飽きられてしまったのではないか、と私は考えています。

そんな中、1996年カプコンのゲーム、「バイオハザード」が生まれ、世界中で大ヒットし、大きな話題となりましたよね。昨今のゲームにはゾンビがなくてはならない存在になっていますが、ゲームの世界でゾンビが大活躍するようになった原因の一つは間違いなく『バイオハザード』であると思います。
それに加えて2002年には同作をテーマとした実写映画がヒットし、シリーズ化されました。これが起爆剤となって、ゾンビ映画も息を吹き返しました。
このように、バイオハザードがなければ、ゾンビを題材としたコンテンツが今のような状況にはなっていなかったでしょう。

ちなみに、「バイオハザード4」以降の作品ではゾンビとは別の存在とされつつも、人型のクリーチャーが登場しますが、私個人としては勝手ながらそれらもゾンビの一部だと解釈しています。
昨今のゾンビ映画におけるゾンビは互いに意思の疎通ができたりと、進化しており、異文化との接点を表現するために用いられていたりし始めています。ゾンビという存在が、複雑化する現代社会における、多様な価値観の表象として描かれるようになってきていると考えられるのですが、バイオハザードにおけるクリーチャーも同じように「進化したゾンビ」なのだと思っています。


── 当社の「バイオハザード」がゾンビに関するコンテンツにそこまで大きな転機をもたらしたかと思うと非常に光栄です。
バイオハザードシリーズに登場するゾンビ特有のものは何か感じますか?


岡本 実は今、初代となる「バイオハザード」から、シリーズタイトルを順番に改めてプレイしてみているのですが、気づかされる点がたくさんあります。
シリーズの初めはスタンダードなゆっくりとした動きのゾンビですが、シリーズが進むにつれて、動きが速くなったり、ゾンビ同士がコミュニケーションをとったりと次第に描かれるゾンビ像が変化していると感じています。これは、映画やアニメなどで描かれるゾンビの傾向とも一致しています。
カプコンのバイオハザードのゾンビは非常に多様で、様々な特徴をうまく取り入れつつ、ただしシリーズとして世界観が壊れないようによく工夫されています。時代に合わせてアレンジされるその柔軟さこそが魅力であり、かつブランドを通してその工夫が絶え間なく続いているという点がさすがだなぁと強く感じています。



初代「バイオハザード」のリリースから、25年が経ち、これまでたくさんのタイトルが生まれました。

初代「バイオハザード」のリリースから、25年が経ち、これまでたくさんのタイトルが生まれました。



── たくさんのシリーズタイトルをプレイしていただきありがとうございます。中でも特に好みのタイトルはありますか?


岡本 どの作品もすごく考えて作られていて、どのタイトルもプレイして感じる感覚が違うので、どれも面白いというのが率直な感想でして、一つを選ぶのは難しいです(笑)まず、最も怖いと感じたのは「バイオハザード 7」です。VR版を最初にプレイしたのですが、音の臨場感も手伝って、自分がその恐怖を体験しているという感覚を非常に強く感じました。環境がものすごくリアルで、敵がいないのにちょっとした物音がしただけで怖くて反応してしまいました。
最新作「バイオハザード ヴィレッジ」については、今まさにプレイしているところなのですが、「バイオハザード7」での強烈な体験に加えて、更に様々なギミックや迫力があり、体験の質がこれまでにないくらい非常に高いと感じました。読者の皆さんにも、是非、自分でプレイして体感してもらいたいです。

プレイ時間をかけた、という点では、「バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ」と「バイオハザード ダークサイド・クロニクルズ」です。これまでの操作性とは大幅に違うという点に加え、ストーリーもタイトルの垣根を超えた包括的な内容となっており、やりこみ要素も含めて、非常に長く楽しませてもらいました。

ナンバリングタイトルではない作品もどれも工夫が感じられ、楽しませてもらっています。
また、こういった派生作品があることで、バイオハザードのファンの方々も、バイオハザードの色んな面を感じられるのでは、と思っています。色んな作品をプレイすればするほど世界観がしっかり作られていることを実感します。


── 図らずも当社のゲームをたくさん宣伝いただくこととなってしまい恐縮です(笑)ありがとうございます。
岡本准教授とカプコンのバイオハザードの出会いというのはいつ頃でしょうか?


岡本 13歳のころ、初代「バイオハザード」に出会い、強烈な衝撃だったことを覚えています。操作が難しくて、ゾンビはそんなに速くないのに、もたもたしているうちに近づいてきて襲われてしまいました(笑)場面がきりかわる際の階段や扉の演出にドキドキしながらプレイしていました。
その後の「バイオハザード2」、「バイオハザード 3 ラストエスケープ」も忘れられません。ラクーンシティの市街地にゾンビやクリーチャーがいて、という世界観は私も非常に大きな影響を与えられたと感じています。ラクーンシティでのサバイバルと言えば、「バイオハザード アウトブレイク」では、プレイヤーはクリスやレオンのような強いキャラクターではなく、あくまで一般市民という設定に緊張感がありました。自分の操作キャラだけでなく、いくつものキャラが同時進行で動き回り、話しかけてくるのが、より緊張感を煽って来て楽しかったです。
2022年公開予定の『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』も楽しみです。こう考えると私の人生、常にラクーンシティが傍らにありますね(笑)


── 中でも特に好きなクリーチャーや印象に残っているクリーチャーはいますか?


岡本 ゾンビはもちろんですが、他のクリーチャーだと、リッカーが好きです。初めて遭遇した時は「なんだこいつは!」と衝撃でした。
バイオハザードの魅力の一つは多種多様なクリーチャーが登場するところだと思っています。初代から最新作まで、本当に色々なクリーチャーに苦しめられてきましたが、それが楽しいんですよね。



バイオハザードソフトを持って笑顔の岡本健准教授

── ありがとうございます。最後に、将来のゾンビにまつわるコンテンツについて、岡本准教授の見解をお聞かせください。


岡本 昨今の社会が複雑化していることの影響を受け、人間とゾンビが単純な二項対立ではない世界観の作品が増えてきていると感じます。
そういった意味でゾンビは、社会において他者や異文化との関係性を描くのに非常に適したコンテンツであり、それこそ他のモンスターとは違う部分だと思っています。ゾンビはもともと人間で、それが変化してしまったものです。つまり生来の怪物というわけではなく、「元人間」であるところが大きな特徴です。
そこに、ゾンビを単純に撃退することがよいことなのか、という葛藤が生まれる余地があります。自分すらもゾンビになる可能性があり、完全に他人事では片づけられない。そのように考えさせられる点にゾンビの魅力があると思っています。

また、ゾンビと一言で言っても、近年は非常に多種多様な特徴を持ったものが生まれています。先ほど言ったように、バイオハザードのゾンビも同様にうまく変化しながら、また、ゾンビだけでなくゲーム体験という観点からも非常に工夫がなされており、どのタイトルも特有の面白さを提供されていると思います。

今後、カプコンがバイオハザードにどのようなゾンビやクリーチャーを登場させるのか、またどういう設定をされるのかが、世界中の今後のゾンビに関するコンテンツの内容を左右すると思っています。これからも、シリーズの展開を楽しみにしております!


── 非常にありがたいお言葉、ありがとうございます。本日はお時間をいただきありがとうございました。

 

岡本 健(准教授) 岡本 健(准教授)

著書:大学で学ぶゾンビ学~人はなぜゾンビに惹かれるのか~(扶桑社) 著書:大学で学ぶゾンビ学~人はなぜゾンビに惹かれるのか~(扶桑社) Youtubeチャンネル:ゾンビ先生の『YouTubeゾンビ大学』 https://www.youtube.com/channel/UC2j66tHGA-Luyt5sF3cg6XA

 

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